中山功太「絶対に踏み込んではいけない土地」

絶対に踏み込んではいけない土地と言うのが、

場所は絶対に言えないんですけど、言ってはいけないというのは言うと大体の人が地名でわかってしまうんですよね。

 

ひと区画だけ絶対に踏み込んでないけないエリアがあります。

 

それは十字路になっているんですけれども、まぁ田んぼの「田」の字のような感じの道があり、それをビルが囲んでいる場所なんですけど

 

友達と遊んでいる時に、自転車で夜8時くらいに

偶然その場所に迷い込んだことがあるんですよ。

 

飲み屋さん、スナックが何軒かあるんですよ。

で、なぜその区画が危ないかって言われているかというと

その場所が実は治外法権だと言われていまして、

昔実はここで警察官が死んでいたことがあると。

外傷がすごくあったんですよね。

なのにそのお巡りさんの足がその区画に入っていたという時点で、顔がもうボコボコになってるのに一瞬で自殺であると断定されたんですよ。

それくらいヤバいところだと言われてまして。

 

そこに偶然僕が入りましたよっていう話をとある怪談ライブの終わった後、楽屋で話してたんですよ。

するとそこに、かなり危ないところに行くタイプのルポライターの方が近寄って来まして、

「中山さん、今話されてましたよね。私そこ、お昼に行ったことがあるんですよ」っていう風に言って来たんですよね。

やっぱり僕が見たのと同じように、おじさんが普通にいて、いらっしゃいませも何も言わないんです。で、奥にスナックがあって、これもお昼なのにどうやら開いている。看板もあるんですよ。

で、そのスナックの入り口にステンドグラスのようなものがあって、まあ中は飲み屋さんやなっていうのがなんとなくわかる。ルポライターの方は店に入って行ったんですよ。カランコロンカランと入りますと、いわゆる大阪のおばちゃんといった感じのおばちゃんがいて、

「いらっしゃい」って言うんですけど、

入って気づいたのが、外から見た時にお酒がたくさん並んでいるように見えたんですけれど、そのウイスキーとかグラスとか、バーのカウンターの後ろにあるものが全て

絵やったらしいんですよ。

新喜劇で言うとこの書割(かきわり:パネルや板などに絵や布を張り、風景や建物といった背景を描いたもの)、セットやったんですよ。

 

これはどういうことなのかな?と思っていったら、おばちゃんが

「あぁ、とりあえずじゃあ見て」っていう風に言って、奥の黒いカーテンをガッと開けたらしいんですよ。するとそこから…、

手を後ろ手に縛られた全裸の女性20代、30代、40代と思わしき女性が3人連れてこられたらしいんですよ。

それで、

「どうする?」

って言うんですって。

「1時間やったら3万やけど、3時間やったら5万で・・・」

って言うんですよ。

その時点でルポライターの方は

「おそらく、これは違法な風俗を行ってる。とんでもない町やな」

と思ったらしいんですけど、その瞬間に

「あとまぁ、“トルテ“やったら300やね」

って言ったんですって。

“トルテ“・・・おそらくトルテとその方言っていたんですけど、耳馴染みのない、

何語かも分からないカタカナ3文字だったって言うんですよ。

「トルテ?トルテってなんですか?あと300って、300万ってことですか?」

って言ったら、ちょっとおばちゃんがムッとして、

「あ〜もう知らないんだったらいいよ。もう帰りな。」

って言って、追い出されたらしいんですよ。

 

で、その帰り道に、その建物の2階の方からけたたましい機械音が聞こえてきたらしいんですよ。人の声は聞こえないんですけども、とにかく凄まじい機械音がなっていると。

何かをバラしているんですよね。

ちなみになんですけれども、Googleマップなどで僕色々調べたんですけれども、

今その土地、Googleマップに表示されないように加工されているんですよ。

 

絶対に踏み込んではいけない土地というのは今もまだあります。

僕はもう、ギリギリのところで通っただけで済みましたけれども、普段足を踏み入れない場所というのは、足を踏み入れにままの方が安全だと僕は思います。